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ビジネス日本語 2004年春学期 インタビュー・プロジェクト

ウィスコンシン在住の日本人に聞く

日本の職場・アメリカの職場

ウィスコンシンに住むビジネス経験者の日本人の方々に、人事採用、職場の雰囲気等を中心として、ビジネス場面に見られる文化差などについてお話を伺いました。インタビューをもとに作成した下記のレポートが読者のみなさんにも参考になればと思います。インタビューに御協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。

ウィスコンシン大学・日本語学科 森 純子

 

「考えておきます」

ウィスコンシン大学MBAプログラム・ 楠部祐三様

楠部祐三様にインタビューさせていただきました。楠部さんは今までに六年間レザープリンターを作るエプソンという会社でプロダクトマネジャーとして働いていました。今年の五月にMBAを取ってウイスコンシン大学を卒業します。ウイスコンシン大学のMBAプログラムで習ったことの中で、一番びっくりしたことはアメリカの会社にとっては、株価をあげることの方が会社員より大切だということです。それに、アメリカと日本とを比べると、チームワークや個人主義の考え方はとても違うということです。今の大学院での勉強ためのスポンサーはエプソンだから、卒業した後で、エプソンにもどって、どこか新しい部署で仕事をすることになるでしょう。Mr. Kusube


エプソンでは、年功序列がありますが、終身雇用がありません。一般的に、両方はいいことだと思っていらっしゃいました。年功序列のおかげで、いい給料をもらいます。それに、募集、採用の時に間違ってあまりよくない社員をとってしまっても、会社が好きじゃない人は早くやめてしまうので、会社の中で競争するのではなく、全人でチームとして働くことができるから、終身雇用はいいことだと思うそうです。

しかし、楠部様はマーケッティング専攻の大学院生で、私のインターンシップでもマーケッティングをするから、どう日本とアメリカのマーケットが違うかについてたくさん話しました。一般的に消費者の決定する方法は本当に違います。一方、日本人はよく感情的な決定をする一方、アメリカ人は合理的に決定します。例えば、食べたい時に日本人はおいしい食べ物を選んで、しかし、アメリカ人は便利な食べ物を選びます。特に、宣伝または企画をする時に、このそういう点を思い出した方がいいとおっしゃいました。

ほかに話したトッピクは同僚の関係でした。日本的な会社では色々なプロダクトマネジャーはお互いに助けあいます。しかし、アメリカ的な会社では一人のプロダクトマネジャーが悪い仕事をしても、誰も助けないのため、全体として会社の営業が減少してしまいます。そういう点で、アメリカの制度が悪いと思うそうです。それに、上司との関係は特別に複雑だとおっしゃいました。担当の人の考えが好きじゃなくても、上司はぜんぜん直接に言いません。そのかわりに、「ちょっと考えておきます。」と言いますが、実はこれに「いいえ」という意味があります。楠部様からたくさん役立つことを習いました。

(担当:リンジー・アディソン)

 

弁護士が出てくるタイミングは?

JETROトレードアドバイザー・野田眞一郎様

クラスプロジェクトのため、ジェトロ(Japan External Trade Organization)のシニアトレードアドバイザーの野田・Sam様にインタービューさせていただいて、いろいMr. Noda&Albornろなクラスで習ったトピックとビジネスに関して質問をしました。

まずは日本の会社に申し込む事に対しての質問でした。野田さんによれば、会社の面接をうける時、一番大事な事は、やはりその会社は何を要求しているのかによってちがってくるそうです。例えば、自分が何を勉強してきたかなどの説明も、どういう会社にやとわれるかによって違います。それ以外にも、日本の会社ではチームプレーは大変重要なことなので、周りに協力ができないような人間は雇われないとおっしゃっていました。それに、日本語はツールとして便利な事ですが、それ以上に他の技術や知識がないと困るそうです。言葉はすべてではありません。

ビジネスと日本の企業に関しても、いろいろ聴きました。野田さんの答えによれば、日本の会社とアメリカの会社の間には様々な違いがあります。まず、日本企業ではなにかを決めるとき、時間がかかります。逆に、アメリカの会社はトップの人がいろいろ決めるので、決定は早いそうです。日本の会社の方が物事を決めるのに時間がかかりますので、ビジネスチャンスを失う可能性が高いです。今のままで続けていくと、アメリカの会社とビジネスをするとき、日本の会社は出遅れてしまうと野田さんが教えてくださいました。

終身雇用と年功序列の制度に関しても聴きました。野田さんによれば、今までは年功序列と終身雇用があり、仕事の保証があったけれど、これは急激に変わってきているそうです。それには二つの理由があります。まずは、日本の経済状態が非常に悪くなってきたので、会社は今までのように会社員のことについて考えることができなくなってきました。もう一つは効率的に仕事をしなければいけないので、効率をあげるためには、会社の中で競争させなければならないということです。非常によくできるひとはたくさん給料をもらえるし、競争がもっと激しくなるから、それがいやでやめてしまう人が出てくるに違いありません。野田さんによると、年功序列というシステムが雇用主と雇用者両方の立場から崩れつつあるという事です。

最後に、アメリカのビジネスにとっては日本の会社と初めてビジネスをする時、弁護士をつれてきて、初めに契約書の書類を作るのは当たり前のことですが、日本のビジネスから見れば、これは大変不適当な事なのです。それはなぜかというと、日本のビジネスは契約を作る前は他の会社と親しくなったり、段階を踏んで交渉するのでタイミングが非常に違っているという点が日米会社の間の一番大きいな違いだと野田さんが教えてくださいました。

今回のインタービューを通して本当にいろんな事を学びました。日本の会社で働く事を夢見る私にとっては野田さんから教えていただいた事はとても貴重のもだと思います。

(担当:ジェフリー・アルボーン

仕事のない経済回復

元出版社勤務・潮見泰子様

潮見泰子先生は今ウイスコンシン大学でTAとして働いていますが、1998年から2000年まで出版社(本を作る会社)で働きました。岐阜県で営業をして子供のための英語の本を売りました。やはり、子供の本の営業は車や服の営業とずいぶん違います!この本を使う人が買わないし、製品を広告であまり見えないし、広告が難しかったです。潮見先生はいつも忙しくて、朝九時から夜九または十時まで働きました。生活がどんどんしごとばかりになって、しまいに、やめてマデイソンにきました。

いろいろなことを教えてくださいました。やはり、ビジネス日本語を取ってるけど、アメリカ人は潮見先生のしたような営業の仕事をほとんどできません。アメリカ人はほとんど全部日米の会社と英語学校ではたらきます。現在の日本の経済のこともよく教えてくださいました。基本給は年功序列ではなく実績で決まるようになっていました。それに、零細企業が増えっています。でも、全体として、あまり不況の影響がないようです。アメリカのように「仕事のない経済回復」があるみたいです。つまり、お金を持っている人には不況の影響があまりないようです。

(担当: ジョセフ・バリントン)

日本人としてアメリカの会社で働くこと

CUNA Mutural Group 今村智美様

先日、今村智美様にお目にかかりました。 今村様は今CUNA Mutual Groupというクレジットユニオン向けのファイナンシャルセキュリティーの会社でITの仕事していらっしゃる女性です。30歳で1998年にアメリカにいらっしゃいました。

日本で大学の専攻は英語で、卒業した後三菱樹脂の営業部で仕事をすることにしましたが、仕事の内容が自分のやりたいことじゃなかったので2年後この会社をやめました。それから、英語をもっと勉強したいと思われて、アメリカにいらっしゃり、マデソンのエッジウッド・カレッジでITの勉強なさって、今のCUNAで仕事をするようになりました。

仕事についていろいろなことをお聞きいたしました。

アメリカで仕事をしていい点は、

1.英語を使って仕事をすること。(今村様は英語が好きだから)
2.一人一人に重要な役割(やくわり)があること。
3.目上の人にもいつも自分の意見を話せること。
4.自由があること。(例えば、自分の仕事が終わったらすぐ家に帰れることなど。)

ちょっと困っていらっしゃったのは、初めて仕事をした時、まだ英語がそれほどうまくなかったので会議中に何か今村様がずっと考えていたことを話すと、「それはもう他の人が話しましたが」と言われてしまったことだとおっしゃいました。

日本で仕事をしてよかったのは今村様は友達とお酒をのんだり、話したりするのを好きなので、週末に同僚たちとの楽しみはアメリカよりよかったそうです。

最後の質問で「家族もみんな日本にいらっしゃるので、すぐ日本にお帰りになる予定ですか」ときいたら、「今の生活と仕事に満足しているから、できたらずっとここで仕事をしたい」と答えていらっしゃいました。

(担当:ジンヒ・ベック)

「日本人らしさ」・「外国人らしさ」

ウィスコンシン大学MBAプログラム・大畠陽介様

大畠さんは日本で六年ぐらい不動産関係の仕事をなさっていて、町の再開発をしたり、土地の持ち主と交渉したりしていました。その他に調査やマーケット・リサーチなどもしていました。お父さんが不動産会社を経営していて、子供のころから興味があったのがきっかけで不動産関係の仕事をしようと思われたそうです。そして「人が集まって何か活動する場所を作るのが面白い仕事かなぁ」とおっしゃっていました。

Mr. Ohata日本とアメリカの会社の相違点についてお聞きした時、残念ながらアメリカでは働いた事がないと言う事でしたので、ご意見を聞かせていただきました。アメリカで勉強して、グループ・ワークをしたりする時に感じたのは日本人と比べてアメリカ人の方が自分の気持ちをはっきり言うことだそうです。日本でははっきり自分の意見を言わなくても自然に周りの人が分かるけれど、アメリカだと色々な国の人が係わりあってくるから考えている事をちゃんと言わないと問題になってくるでしょう。

年功序列や終身雇用は、戦後日本が経済的に発展してきた中でとても役に立っていた制度で、とてもメリットが大きかったそうです。でも、日本の給料が高いからコストも高くなって、そのコストを下げるために中国やインドなどの大きなマーケットが中心になってしまうから、日本はクリエーティビティーを発揮しないとどんどん下がって行くと思われるそうです。そして、最近は人事制度が変わりつつあるから今の時代には別の制度を必要としているそうです。

面白いことに日本では会社の中で人を育てていくから、日本でお仕事をする外国人がその会社に適応できて、うまくやっていけそうならそれでいいんじゃないかとおっしゃっていました。年齢のいった外国人には専門能力は重要なポイントですが、若い人の場合は専門的な能力はあまり必要とされません。だからこそ性格が一番大切ではないかと思われるそうです。

最後に、「日本人らしさ」と「日本人らしすぎる」事について大畠さんがおっしゃっていたのは、外国人らしさがあった方がいい時もあるそうです。その方がもっと自然で、違和感があまりないから居心地が悪くならないと思われるそうです。どうしてかと言うと、アメリカと違って、日本の会社に外国人が入ってくると日本人は結構気を使うから、とおっしゃっていました。

(担当: ティナ・バターフィールド)

インターネットで就職活動

元コンピューター会社勤務・田中佳子様

コンピューター会社で勤務されていた田中佳子様にインタビューさせていただきました。ただいま田中様は英語の勉強をしていらっしゃって、ご主人はウィスコンシン大学ラフォーレット研究所の大学院生でございますが、田中様は前に三年間コンピューター会社で営業担当と開発担当のお仕事をなさいました。

田中様のご出身は石川県金沢市ですが、大学に入って東京に住むようになりました。歌舞伎を専攻しましたが、卒業するとき、日本の景気が悪くて、劇場に関する仕事が少なかったので、コンピューター会社及び専攻以外の会社にも応募しました。面白いと思ったのは田中様はコンピューター会社に応募したとき、初めての入社試験はインターネットでの試験だったということです。7500人ぐらいの会社なので、毎年何万人も会社に応募しますが、田中様が入社された年には400人しか雇われませんでした。人数がそんなに多いので、インターネットの試験が必要になるのかもしれません。

田中様の会社が社員募集の際、求めている人材は真面目で英語ができる人間だと田中様はおっしゃいました。クラスで学んだ通り、就職するとき、大学でのスポーツやボランティアなどの活動が自分の真面目さを表すと思われています。田中様は大学のとき、スポーツ部などに入らなかったですが、ロックバンドで歌を歌いました。もう一つの面白かったと思ったことは田中様の会社は英語が話せる人間を求めているのに、誰も英語を使わないし、外国人の社員が全然いなかったということです。

コンピューター会社でお仕事をなさったときのことを振り返って、田中様は同僚との関係がうまくいっていたことはうれしいですが、残業が大変だったとおっしゃいました。週末でも遅くまで仕事をせざるを得なかったのです。14時間働く日が少なくなくて、大変だったそうです。私は田中様とのインタビューを通して、いろいろなことが分かって、ありがたいと思っております。

(担当:リヴ・コールマン)

 

本人のやる気が一番

ウィスコンシン大学MBA・深作善郎様

深作さんは今、ウィスコンシン大学でビジネス を専攻なさっています。大学に入る前に、八年間(1994-2002)荏原製作所に勤めていらっしゃった時は、設計者として研究開発部でビルのために水を汲み上げるポンプとタービィンをお作りになったそうです。

Mr. Fukasaku1994年四月に、深作さんは荏原 という会社に入社なさったそうです。入社前に、試験を受け、一時間ぐらい面接を受けなければならなかったとおっしゃっていました。その時は経済が悪くなかったので会社に入ることはあまり難しくなかったとおしゃっていました。また、日本全体的に、面接の時のプライベートな質問に対して、批判が強くなってきているので、会社は注意を払うようになってきているそうです。日本とアメリカでは面接の時に求められているものが同じようになってきているようです。つまり、その求められているものは本人のやる気です。その時は緊張していたので、もう一度面接を受けるチャンスがあれば、深作さんはもっと落ち着いて質問に答えることができると思うと言っていらっしゃいました。

会社に入ったばかりの時、三ヶ月トレーニングをなさって、その間ににOJT(On the Job Training)もあり、レクチャーもあり、さらに新入社員全員が集まってトレーニングをなさったそうです。深作さんによると、日本で年功序列の給与制度は本当は制度というわけではな日本的な習慣でしかないそうです。特に今、会社の経営が厳しくなっているので、年功序列もなくなりつつあります。荏原製作所でも、能力給を導入しつつあるとおっしゃっていました。でも、深作さんは、特に若い社員が社員がやる気を持てるようにアメリカの能力給システムを取り入れた方がいいと思っていらっしゃるそうです。深作さんはMBAを修得してから荏原に戻るつもりだそうです。

(担当:ジェームズ・ハチェット)

 

日本企業の経営モデルは?

匿名希望 I 様

Iさんは、10歳までアメリカ・サウスキャロライナ州に住まれていましたが、その後、日本に引っ越されたそうです。そしてIさんのお父様が商社の仕事をされていたことの影響と不動産の仕事をされたい気持ちがあり、海外不動産に関する仕事をしたいという想いが生まれたそうです。そして、1998年に海外不動産への想いを胸にN商事に入社し、入社後4年間国内マンション開発の仕事をされていました。

アメリカは不動産ビジネスの先駆者の為、今はN商事の研修の一環としてウィスコンシン大学・ビジネススクールで不動産の専攻でMBA修得のために勉強をしていらっしゃいます。会社によって負担する額は異なるそうですが、N商事を含め、日本の会社では、入社後五年から十年目に研修の一環としてMBAを取るために海外の大学に派遣させることがあります。その代わりIさんは、MBA終了後、会社との契約により、五年間N商事で働くことになっているそうです。

マンション開発のためには最初に土地を買います。Iさんは千葉県、埼玉県、神奈川県の土地を担当していらっしゃいました。次に、マンションの建設、設計を外注する為、ゼネコンや設計事務所に建設、設計の仕事を依頼します。マンション建設中に、マンションが消費者に魅力的に見えるように宣伝活動を行ない、通常建物が竣工する前に販売します。マンション開発は、建物の高さにもよりますが、平均二年間ぐらいかかるそうです。アメリカでは、土地は建物の値段のほぼ2・3割ぐらいだそうですが、日本では、土地は半分ぐらいの割合を占めるそうです。Iさんが担当されたマンションは1戸当たり3000万円から5000万円(総額で一つのマンションあたり50億円から100億円)で売れるようです。不動産ビジネスは金額が大きい為、日本の会社では接待がビジネス戦略上使われることが多く、ゴルフが接待に使われることが多いそうです。日本ではゴルフは1万円から5万円程度しますが、例えばその1万円の接待で数十億円のあつかいが出来るようになるかもしれないことが接待の意図といえます。

一般的に、日本の会社は今でも年功序列制を採用しているところが多いそうです。基本給は学部卒で月額20万円程度のところが多く、年に5%ぐらいあがるところが多いそうです。賞与や残業についても聞きましたが、昨今の日本企業の不振により、賞与や手当などが削減される傾向にあるそうです。残業代を削減する為に、残業をしないようにと促す会社もあるそうですが、日本では、まわりの人が働いていると帰りにくいと感じる人も多いようです。Iさんも、普通勤務時間は9:15から5:30までだそうですが、9時か10時くらいまで残業をすることも多いとおっしゃっていました。

Iさんとのインタビューから日本の会社について一般的な情報、具体的な情報を集められました。私にとって一番有益な情報は、日本の会社の経営が困難になっている状態とその会社の社員への影響でした。これからの日本企業の経営モデルはどのように発展していくのでしょうか?

(担当:井上太朗)

 

インチ?センチ?ー単位の違いがもたらす影響

ミルウォーキー・ブルーアーズ・長井雅明様

私は長井雅明という方にインタビューをさせていただきました。長井様は早稲田大学で電子通信工学を専攻し、卒業後三菱重工で働いていました。三菱で1997年から2002年までミルウォーキーブルーワーズの球場「ミラーパーク」の開閉屋根の設計を担当しました。完成後、三菱を退職し、屋根の運転や維持管理などをブルーワーズ球団の職員として担当しています。

Mr. Nagai長井様はブルーワーズに転職してから職場上での問題はほとんど言語・文化的なものです。本人曰く英語があまりできないので、同僚や上司とのコミュニケーションは楽とはいえません。以前に勤めていた三菱の工場には6000人ほどの人がいたため、社内コミュニケーションの多くは書類、またはEメールなど記録として残るもので伝える必要があったそうです。しかしブルーワーズではシーズン内でも関係者数は80人を超えないので、メッセージが伝えたいときは相手と直接顔を合わせるのが普通だとおっしゃいました。そうすると絵を描いたり手振り身振りなどを使ったりして言葉以外のあらゆる手段も利用できるのでブルーワーズの方の人間関係の緊密さは助かるそうです。

長井様によると、屋根の設計・工事中でもっとも問題になったのは、単位だったそうです。アメリカはなぜか不合理な単位(インチ、ポンドなど)に執着しているので日本で設計したものを変換する必要がありました。単位変換がちゃんとできなかったソフトのせいで爆発したNASAの検出器を考えると、これは決して小さな問題ではないでしょう。幸いなことにそれほどの事故はありませんでしたが、長井様はアメリカ人の「単位感覚」に違和感を感じたそうです。長井様によると日本人は1ミリほどの正確さまで考えるのですが、アメリカ人は1/4インチくらいでいいかと考える人もいるそうです。これは1ミリの6倍くらいなので、日本人から見て大ざっぱに感じるのは想像するに難くないでしょう。個人的な意見ですが、アメリカもメートル法に速く変えた方がいいと私も思います。

(担当:アーロン・マドロンケイ)

 

日米の職場での役割分担の違い

医療機器メーカー・ソフトウェアエンジニア・平尾真一郎様

外国人の日本での就職や、アメリカと日本での勤務や職場の違いについて調査するため、現在、アメリカのウィスコンシン州でPhillips医療機器のソフトウェアー開発を担当している平尾さんにインタビューさせていただきました。Mr. Hirao


平尾さんは日本の会社で数年間、勤務をした後、約一年半前にウィスコンシンのマジソンにある現在の会社で勤め始めたそうです。元々はコンピューターとは違う方面の仕事をなさっていましたが、日本での最後の仕事がIT系で、その関係で現在のソフトウェア開発の仕事に及んだそうです。今は、医者や放射線技師が癌の治療に使用する医療装置用のソフトウェアの開発をなさっています。

平尾さんに外国人の日本での就職や勤務について伺ってみました。私は韓国人として個人的にアメリカ人とアジア人に対して期待されている、職場や公式の場での行動の取り方について尋ねてみました。平尾さんは、やはり日本人は中国人や韓国人などアジア人に対しては、自分たち日本人と「同じ」だと考えているので、もっと厳しいだろうとおっしゃいました。文化や思考の根本を共にするアジア人とは別に、アメリカ人などの欧米人に対しては根本からが違うと思っているのですこしの誤りは許すだろうということでした。

また、平尾さんは自らの経験を通してアメリカと日本での勤務や職場の環境の違いについて説明してくださいました。やはり一番の違いは仕事の分担で、アメリカでは役割分担が細かく、はっきりしている事だそうです。現在平尾さんの勤めていらっしゃる会社でも開発部、マーケティング・セールス部、検査部、そしてフィールドサービスとはっきり分かれていて、開発部の中でもコンピューターエンジニアやドクターレベルの物理士などと、役割が細かく分担されているようです。それに比べ、日本では役割分担の境界が曖昧なため、自分の分以外の色々な事もしなければいけないという事でした。そのため、残業も多く、徹夜してまで仕事をする事も幾度もあると言われました。

職場での環境も日本とアメリカではとても違うそうです。個人的な思考のアメリカに比べ、上司や上の人に対しての礼儀を大切にする日本では退勤時は必ず上司に報告をするそうです。でもアメリカでは仕事が終われさえすれば勝手に帰ることができてとても楽だとおっしゃいました。又、アメリカではプライバシーを尊重するため、平尾さんの勤めていらっしゃる会社では正社員は皆、個人部屋があるそうです。

以前は日本での勤務について漠然と憧れていましたが、このように平尾さんに色々な話をしていただいて日本での就職について学び、もっと真剣に考えることができました。

(担当:ステーシー・リュウ)

 

採用、そして、OJTトレーニング

ウィスコンシン大学MBA・深作善郎様

深作さんは大学で機械工学を勉強していらして、1994年に荏原製作所にお入りになりました。設計者として8年ぐらい研究開発に関わった後、2年ぐらいMBAのためにアメリカで勉強していらっしゃいます。荏原は水のタービンとポンプなどを製造している会社です。そのポンプの直径は10mぐらいだそうです。最初に会社ができた時にはその町に会社があったのですが、今は別の場所に移って、もうその場所にはありません。

その会社は主に日本の会社と取引をしますが、アメリカのサクラメント、ピッツバーグ、さらにイタリアなどにも子会社があります。マーケットは中国、アメリカ、東アジア、タイ、なども含まれますが、主に事業は日本向けです。

面接の時、主にエンジニアの仕事と関係のある質問を聞かれたそうです。でも、面白い点は、工学についての試験を受けなければならなかったということです。面接は一時間ぐらいかかり、個人的な質問は聞かれなかったそうです。採用当時は景気が良かったので、今と比較すると就職は有利でしたとおっしゃっていました。

10月に面接があり、4月に入社なさいました。面接のとき、敬語はもちろん大切ですが、やる気と設計能力は一番重要だということです。その時は緊張していたので、もう一度面接を受けるチャンスがあれば、もっと落ち着いて答えることができるだろうと言っていらっしゃいました。

入社したばかりの時、3ヶ月ぐらいトレーニングがあったそうです。一ヶ月ぐらい講義に出て、他の新入社員達といっしょに会社の制度、組織などについて勉強なさったということでした。その後、工場で現場の人たちと一緒に、モノを組み立てたりして、製品について知識を広めたそうです。最後の一ヶ月、部署に配属されて、OJTで技術関係の具体的なトレーニングをなさったそうです。

終身雇用というのは日本の企業の一般的な慣習で、法律とかで決められている制度ではありません。多くの日本人が定年(一般的には60歳)まで同じ会社で働き続けることを前提に会社を選んでいるという状況を、「終身雇用」と呼んでいます。最近は不景気でリストラする会社が多いので、定年まで同じ会社で働き続けることは難しくなりつつあります。

荏原は、従来は年功序列で昇進するシステムでしたが、今は実績を重視するシステムに変えようとしています。

深作さんでは、若い人たちのやる気などを促すという理由で、実績で昇進するシステムの方がいいだろうと言っていらっしゃいました。

深作さんはいろいろなことを教えてくださいました。日本とアメリカのビジネス制度の違いによく気が付いている方だと思いました。

(担当:ローリー・ウォーレン)

 

仕事より家庭 〜家庭のために転職、退職、渡米

元臨床検査技師・スタンキー直子様

五年前、東京に本社があり、日本各地にも支社をもつ大きい感染症研究所に就職したスタンキーさんは、当時、二年後にやめることになるとは思わなかったに違いません。仕事は仕事でしっかりやりますが、仕事を家庭の範囲に絶対もちこみたくない、というのが、彼女のいつもの方針です。研究所で麻疹ウイルスの研究を担当していたスタンキーさんは、その忙しくはない代わりに、残業が多くて定時性に欠けた仕事に満足しなくなりました。転職の理由は一般的に受け入れられやすい結婚及び引越でした。

日本では、伝統的な終身雇用という制度が変わりつつあるにもかかわらず、頻繁にやめるのは、企業側から見れば、あまりいいイメージがないようです。一方、被雇用者の側でも、同じ会社での勤務年数が長ければ、長いほど転職するというのは、かなりの勇気がいるそうです。従って、所謂年功序列のもとで、こつこつ働き、昇進していきたい男性の方々は、最初から終身雇用を狙って仕事を捜すのが普通ですが、その反面、男性に比べて、女性の方がむしろ好きな仕事がやりたいと言う理由で、平気に転職したりする人が多いらしいです。無論、結婚や出産や育児のため、仕事をやめざるをえないケースも少なくありません。幸に、経験者を求めている職種も結構あるので、スタンキーさんの場合は、何の支障もなくお宅の近くにある個人病院に中途採用されたのです。

新しい勤務先では、新人として、一から遣り直さなくてはいけません。自分より年下でも、技量がくらべものにならなくても、当所での勤務年数さえ長ければ、向うの指示を従わなくてはならない、という階級社会に堪えられなくなる人もいます。でも、スタンキーさんにとって、それより、病院の仕事は時間のめりはりがちゃんとしているのが何よりでした。

病院での仕事も結局は二年半しか続けられませんでした。今年の十一月に、スタンキーさんは退職届を出し、ご主人とともに、寒いマディソンに渡ってきました。アメリカで就職しようとしていますが、やはり言語の面では心細い、と。けれども、幾ら不慣れでいろいろな悩みが生じてくるとしても、仕事より家庭を大切にしているという位置付けが中心にあるスタンキーさんは、今後もきっと、楽しく、頑張っていくのではないか、と私は信じています。

(担当: 王彦)

 

日本製・米国製の共通点と相違点

キッコーマン・林ポール様

二月十九日火曜日キッコーマンアメリカに五年以上お勤めになっている林様に、キッコーマン及び他の日本企業と日系企業の区別、且つ米国に於いての経営上の相違という幅広い課題についてインタビューさせていただきました。いろいろ伺えましたが、以下、当日お聞きした質問の中で、特に面白くて興味深い点だけ取り上げさせていただきます。

まず、私は日本の企業が海外に進出する際主にどういう組織の形を取るのかと尋ねました。下記の通りのお答えでした。主に、現地法人となる海外子会社を設立し、進出することが一般的です。そして、それら日系企業は株主は親会社であるが、いろいろな面で親会社とは異なるということです。例えば、人事採用の場合、アメリカではその業務の経験者を中途採用するのが一般的かと思いますが、日本では業務未経験の新卒を採用することがまだまだ一般的であるということです。

それから、二人の話は製品の品質に移りました。同じキッコーマン醤油でも日本製と米国製に品質の差があるかと言う点について尋ねました。つまり、品質に於いては、日本製の方が米国製のものより優れているのではないかという私の考えを確認するための質問でした。しかし、お答えはそのようなことはないとのことでした。キッコーマンの場合、アメリカや日本だからということで、製品に品質上の差が出ることは基本的にないそうです。理由は、キッコーマンでは全世界同一の品質を目標に、海外を含めた製造工場では同じマニュアル(品質管理の基準)で醤油を製造しているからだそうです。ただし、各地の文化と価値観が異なるため、甘味を付けたり、塩分を押さえたり、製品に特徴を付けることはあるそうです。その中の一つ面白い例を挙げますが、日本では、ガラス容器入り醤油をよりも軽いペットボトル容器のものが好まれるの対し、アメリカ市場ではガラス容器の方がペットボトルより高級感があるとされており、ガラス容器が好まれるとのことです。アメリカの顧客にはペットボトル入りの醤油はとても安っぽく写るようです。

今度のインタビューを通じて様々なことを学びまして、嬉しく思います。林様のご協力を大変感謝したいと思います。

(担当:余 文啓)

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